有識者によるiDeCoのコラム

iDeCoの魅力が分かる!
自分で育てる年金制度iDeCo座談会

iDeCoの有識者、加入者、未加入者の3名をお招きし、座談会を開催しました。
座談会を通じて、iDeCoと公的年金の違い、メリットなど、基本的なお話から
運用する際の考え方まで、各々の視点でお届けします!
司会
司会

本日は年金総合アナリストとして活躍されている原佳奈子先生、そしてiDeCo加入者の鈴木様、未加入者の佐藤様にお越しいただきました。原先生とのお話を通じてiDeCoに関する疑問や不明点を解消し、iDeCoに関する理解をより深めていただければと思います。
まず、簡単に皆様の自己紹介をお願いいたします。

原先生
原先生

原でございます。私は、日頃から年金制度、社会保障制度を軸として将来の生活設計に関する講演活動や執筆などを行っています。その他、様々な会社で、企業研修の企画や実施の支援に携わっています。公的年金のほか、企業年金、個人年金、さらには老後を視野に入れた資産形成、そうした将来の生活設計に関する啓蒙活動、教育活動といったことにも携わっております。

鈴木
鈴木さん

鈴木と申します。年齢は30代です。アウトソーシング会社に勤務しております。今年の5月にiDeCoに加入いたしました。本日はよろしくお願いいたします。

佐藤
佐藤さん

佐藤です。40代です。パート勤務をしております。iDeCoには未加入ですが、私の周りで、老後資産の不安に備えて自分で年金を増やすにはどうすれば良いか?という話題が良く出るので、今日はとても楽しみです。

iDeCoと公的年金はなにが違うの?

司会
司会

それでは早速お話を伺うことにします。
原先生、まずiDeCoと公的年金との違いについてお教えください。

原先生
原先生

はい。iDeCoと公的年金では、役割や制度の性質が全く異なります。
老後の生活の柱になるのは、あくまでも公的年金です。
公的年金は、社会保障制度のうちの社会保険の一つなので、社会全体の支え合いの仕組みで成り立っています。
具体的には現役世代から受給世代への仕送りに近いイメージですね。老齢年金は終身制で、亡くなるまで一生涯受け取る事ができる年金です。ただし、これからの日本は、少子高齢化が進んでいきます。公的年金は世代間の支え合いの仕組みなので、ある程度、それに対応していくということはあります。
一方iDeCoは私的年金の一つで、個人型確定拠出年金という制度の愛称です。
iDeCoという名前がついて、今すごく皆さんに知られるようになってきています。
公的年金とは違い、加入は任意で、自分で拠出した掛金を自分で管理運用して、将来、老後の生活のために公的年金にプラスして、自分で積み立てた資産の給付を受けることができます。

司会
司会

なるほど。お二人は、今のお話を聞いていかがでしょうか?

鈴木
鈴木さん

公的年金と私的年金の具体的な役割の違いがとてもわかりやすかったです。公的年金にプラスできるというところが、iDeCoに加入して良かったなと思いました。

佐藤
佐藤さん

私も両者の違いをよく理解はしていなかったので、今の説明を聞いて、大変よくわかりました。

司会
司会

先ほどの佐藤様の自己紹介の中で、老後資金が不安とお話しになっていましたが、そのあたりについて原先生にアドバイスを伺いたいのですが、いかがでしょうか?

原先生
原先生

そうですね。今、老後資産を不安に思っている人は増えてきていると思います。その中でiDeCoは将来に向けた資産形成の手段として良い選択だと思います。
公的年金の持続可能性は5年に1回行われる財政検証で確認されていますので、制度がなくなるということはありません。ただ、公的年金は、日本の少子高齢化が進んでいくことに対し、保険料はこれ以上増額せずに、給付のほうを調整していくとなっています。この調整によって、給付水準でみると、今よりは将来に向かって、その給付水準は低減していくかと思われます。
これから寿命の伸びで、老後期間はより長くなるといわれています。一人一人が自分の老後の事を早めに考えて、自分の希望に合った充実した暮らしをするためには、公的年金を柱としつつも、何か考えなければいけません。
その為にはより長く働くなどいろいろな選択肢があると思うのですが、その一つとして、iDeCoは制度的なメリットからも有利な選択肢になると考えています。iDeCoの特徴である老後まで引き出せないという環境で、若いうちから積み立てを始めることで、少しずつ老後資産を蓄えることができます。それはとても大切な事ではないかなと思います。

iDeCoにはメリットがいろいろ!

司会
司会

ありがとうございます。
それでは、iDeCoに加入することの具体的なメリットを教えていただきたいのですが、いかがでしょうか?

原先生
原先生

iDeCoに加入するメリットは、いろいろあります。
例えば、iDeCoは、自分でいろいろな金融機関を調べて、運用商品を選ぶことができます。掛金も自分で決められて、資産も自分で管理できます。これはメリットだと思います。
掛金の上限額は、年金の加入区分などによって異なりますが、毎月の掛金額は5,000円から1,000円単位でできますし、途中で変更することもできます。
選ぶ商品も元本確保型といわれる定期預金や保険商品もありますし、投資信託といったものもあります。種類がすごく豊富で、選択肢の幅が広いのです。
また、途中で運用商品を変更し、貯まった年金資産を違う商品に預け替えることもできます。
一番大きなメリットは、2016年の法改正で、一部の方を除きますが、原則20歳の方から60歳の方まで全員が加入できるようになったことですね。

原先生
原先生

加入者は100万人を超えて、150万人近くまで増え、裾野が大きく広がりました。誰もが加入できて、掛金を自分の将来のために払うことができるようになったことは大きなメリットだと思います。
さらにiDeCoは、ポータビリティと言いますが、自分の掛金をそのまま置いとくのではなく、持ち運ぶことができる制度です。転職や退職などをした場合でも、原則、自分の資産を引き続き老後まで持ち運ぶことが出来て、ずっと自分で管理し、確認もできます。これはメリットだと思います。
またよく言われるのが、税制優遇措置が非常に大きいことです。掛金支払い時の全額所得控除とか、運用時の運用益の非課税制度ですね。それに、受給時には公的年金と同じような控除を受けられる点もiDeCoの大きなメリットになっていると思います。

司会
司会

ありがとうございました。
鈴木様と佐藤様、それぞれ感想をお願いします。

鈴木
鈴木さん

私は先生のお話にあった、税制上のメリットというところを実感しています。
ちょうど今、年末調整の時期なので会社に書類を提出する際、少し前に自宅に控除証明書が届きました。内容を確認したときに、iDeCoの掛金が全額控除の対象になり、優遇されているのがわかったのです。運用のことはまだよく分かりませんが、税制メリットだけでも大きいと感じています。

佐藤
佐藤さん

私の場合は、以前会社で働いていたときには、当たり前のように厚生年金に加入していたのですが、今はもう国民年金だけです。そうなると将来の年金額にすごく不安があります。今の先生のお話を聞いて、将来のために自分で備える必要があるんだということをすごく実感したので、もっと早くiDeCoを知っていれば良かったなと思いました。

司会
司会

もう少し鈴木様にお話しを伺いたいのですが、iDeCo加入のきっかけや理由を教えていただけないでしょうか。

鈴木
鈴木さん

はい。私の勤務先には退職金制度がありませんので、なんとなく漠然と退職後どうなるんだろうという不安や心配がありました。
自分で何か準備しなくてはいけないということは以前から考えていたので、いろいろと調べ始めたのです。以前CMもやっていましたよね。そのCMを覚えていて、興味を持ち、セミナーなどにも参加して、iDeCoに辿りつきました。やはり、老後に関する運用とか投資などのお話は多いのですが、もう少しハードルの低い安心できる制度というのが良いなと思いました。
そして、税制メリットも魅力ですが、私は自由に引き出せないということに共感し、加入手続きをしました。

司会
司会

原先生、今のお話をお聞きしていかがでしょうか?

原先生
原先生

そうですね。鈴木様の場合、iDeCoという名前は知っていて、いろいろ調べられて、その後セミナーに参加したということなので、積極的で計画性もあり、すばらしいと思います。

司会
司会

ありがとうございます。
ところでiDeCoに加入するときの手続きの流れの中で、ポイントは、どこでしょうか?

原先生
原先生

一番大切なことは自分に合った金融機関を選ぶということです。
銀行や証券会社、生保や損保など、選択肢が非常に多いのですが、ネット検索などを活用し、しっかり調べましょう。現在、iDeCoは一人1口座しか利用できませんから、金融機関とは長い期間のお付き合いとなります。その特徴などを比較して、自分が納得できるような金融機関を慎重に選ぶということが必要なのです。

金融機関を選ぶときの大切なポイントは、主に3つあります。
まず、商品がどういうものか確認すること。金融機関によって商品のラインナップは違いますから、自分の希望するような商品が、意図する金融機関に無い場合があります。

次に金融機関ごとのサービスの比較も必要です。各金融機関のホームページを確認して見てみましょう。各社ごとに、商品説明やサービスの分かりやすさは大分違います。加入後、ホームページの確認だけで解決できることもあるかと思いますが、電話での問合せや疑問を相談できるサービス窓口の有無、相談できる時間帯や曜日、休日の対応などのサポート体制のチェックも大切ですね。

そして、もう一つ大切なことは、iDeCoに関する手数料の確認です。iDeCoに関する手数料は個人負担です。どうしても必要なものもありますが、金額は金融機関により差がありますし、継続的なお付き合いになりますから、そこに含まれるサービス内容の比較や金額が異なる理由の確認はとても大切なのです。投資信託という商品については、信託報酬という特徴的な手数料があります。商品ごとにそれぞれ異なっていますので、しっかりとした比較が必要ですね。

この3つを確認して、納得した上で金融機関を決めましょう。そして自分で選んだ金融機関から資料を取り寄せて、申込書類を書いて、あとは金融機関の指示に従って手続きをする、という流れになるかと思います。

司会
司会

一人ひとりが自分の生活スタイルなどを考慮し、自分に合った金融機関を選べば良いということですね?
鈴木様は、金融機関をどのような基準で選ばれたのですか?

鈴木
鈴木さん

私の場合は、窓口に行くとか、コールセンターに電話をするというような時間がなく、サービス内容などの比較、資料請求手続きは、全てインターネットを活用しました。最終的には手数料の安い金融機関に決め申し込みました。

iDeCoの運用は難しい?

司会
司会

佐藤様は、今までの原先生のお話をお聞きしていかがですか?

佐藤
佐藤さん

運用に関して教えていただきたいのですが、iDeCoは自分で運用するといわれても、私には運用の知識がほとんどありません。ハードルが高く二の足を踏んでしまいます。私みたいな素人にもできますか?

原先生
原先生

運用っていうとハードルが上がるようなイメージがありますけど、難しく考えず、自分の年金資産を管理するというように考えていただければ良いと思います。
iDeCoには元本確保型から投資信託まで、幅広い商品があります。老後に向けた長期運用が前提になっていますから、専門的なことを急に学ぶというよりは、自分の運用期間の長さとかも考慮して、コツコツ毎月貯めていくという考え方ですね。
無理にリスクが高めの商品などには手を出さず、自分が予め決めた金額で、定期的に続けて積み立てることが出来るということが大切です。
しっかり管理することは必要ですけども、毎日チェックしたり、日々状況を確認する必要はありません。最初だけ少し基本的なところを頭に入れたら、後は、年金資産は自分で管理していくというように思っていただければ良いと思います。iDeCoの公式サイトも参考になりますよ。

司会
司会

鈴木様は、今のお話をお聞きしていかがでしたか?

鈴木
鈴木さん

そうですね。いろんな商品をまず自分で研究したいです。それから、たまに運用益を確認して、少しずつ増えてるなぁとか、長期的な楽しみとして運用を考えていきたいと思います。

原先生
原先生

一番大事なのは、老後のための資金が、日常生活とは別のところで、自動的に積み立てられていくという安心感ですね。つい引き出して使ってしまうということも無いですし、引き出せないことが、かえってiDeCoのメリットだといえます。引き出せない環境に置いておくのは、老後資金の貯め方としては鉄則だと思います。

司会
司会

鈴木様は、実際に加入された後の管理という視点ではいかがでしょうか。

鈴木
鈴木さん

まだ加入して間もないというのもありますが、手続きが済んだ安心感で、まだ全く確認していません。でも、細かく気にしなくとも、毎月自動で老後のための積立ができているという安心感は大きいですね。

原先生
原先生

鈴木様の場合はまだ加入されて1年も経っていないですから、基本的に日々、一喜一憂しなくていいと思います。iDeCoは長期運用が基本ですし、自動的に積み立てられるという安心感もありますから。管理しなければと思ったり、チェックばかりしていると疲れてしまいますしね。

司会
司会

ありがとうございます。
最後に、iDeCoに加入するかどうか迷ってらっしゃる方に、お二人から一言ずつお願いしたいと思います。

鈴木
鈴木さん

私はiDeCoへの加入手続きは面倒なのかな?と思っていました。実際は思ったより簡単でスムーズでしたので、そのことを教えてあげたいですね。運用といっても、私の場合は自動で積み立てていけるところに安心感を感じていますし、難しく考えずに金融機関を選ぶところから始められたらいいのかなと思います。

佐藤
佐藤さん

私も手続きとか、運用がすごく面倒な気がして先延ばしにしていたのですが、今日のお話を聞いて、将来のためにすぐにでも加入したいと思いました。もう少し早く、こういう機会に参加したり、自分で調べれば良かったと思います。最近、私の周囲でもiDeCoの話題になるので、私みたいに関心はあるけれど、どうしたらいいかわからないという方は多いと思います。金融機関だと、商品紹介のチラシが入ったりしますけど、iDeCoについてはセールスが無いので。自分から動かないと、なかなかわかりませんよね。

司会
司会

それでは最後に原先生、コメントをお願いいたします。

原先生
原先生

最近、人生100年時代とか言われますけれども、これからはますます老後期間は長くなると思います。もちろん働く期間も長くはなると思いますけれども、やはり自分が理想とするような老後、充実した老後を過ごす資金を準備するためにも、iDeCoのように、日常とは別の部分で、自動的にこつこつ貯められるのは良い制度だと思います。

原先生
原先生

1年に1回は加入者の記録を管理する運営管理機関から報告書が届きますから、現状も確認できますし、運用状況に不安があれば変えることもできます。決して難しく考えなくても良いのです。
運用に関してもiDeCoの公式サイトを見ていただきながら勉強し、まずは自分に合ったところで始めて、少しずつ慣れてきてから、運用商品や資産の配分を必要に応じて変更すれば良いのです。
税制優遇措置もありますし、老後に向けての資産形成という意味では非常に良い制度だと思います。長期的に運用するものなので、本当は20歳代から始めると良いですね。運用が長ければ長いほど、運用益の非課税も大きくなります。
でも、どなたでもiDeCoの必要性に気がついたときから早めに加入していただきたいと考えておりますので、是非検討していただければと思います。

司会
司会

それでは、これにて座談会を終了いたします。
本日はありがとうございました。

参加者プロフィール

【監修及び回答者】

原 佳奈子 先生
年金総合アナリスト

【参加者】

鈴木様
会社勤務。厚生年金加入者。12年間、アウトソーシング会社に勤務。iDeCo加入は2019年5月にiDeCoに加入済。
佐藤様
パート勤務。厚生年金は未加入。15年間メーカーにて正社員として勤務ののち現在に至る。iDeCoには未加入。

※ 当コラムに掲載されている内容は、2020年1月現在のものであり、今後の制度改正等により内容に齟齬が生じることがあります。
※ 当コラムは、参加者の個人的な見解にもとづいて書かれたものであり、国民年金基金連合会としての見解を示すものではありません。
※ 当コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。
※ 当コラムに掲載されている内容(情報、画像、デザインなど)の著作権は、原則としてすべて当連合会に帰属します。したがって、当連合会の許諾を得ることなく使用(複製、転用、転載、改変、修正など)することを禁止します。

>講師 原佳奈子先生
講師
原 佳奈子先生

PROFILE

社会保険労務士 CFP®
社会保険労務士、1級FP技能士、1級DCプランナーとして、年金・社会保障を軸とした将来生活設計に関する講演・執筆などを行う。株式会社TIMコンサルティングでは、取締役として、幅広い業界で企業研修の企画・実施支援に携わり、一般社団法人 企業年金・個人年金教育者協会(DCTA)では副理事長として、公的年金の他、確定拠出年金をはじめとする企業年金・個人年金、さらには老後を視野に入れた資産形成に関する啓蒙及び教育活動に携わる。
社会保障審議会 年金部会委員、資金運用部会委員

著書:金融財政事情研究会「公的年金ガイドブック」、中央経済社「社労士さんに聞いた年金と老後とお金の話」(編著)
連載:金融財政事情研究会「KINZAI Financial Plan『年金・社会保険の委細詳論』」等

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